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2004/04/12

躓き

いくつもの石ころがそこにあり、そして、そこで躓き。儚い希望というものは、闇の中へ消えてしまうものなのだろうかと。何度も、何度も振り返ってみる。そんな余裕など無いだろうのに。そして、拾い集め始める。何を、何を拾い集めるのか。部屋のあの棚の上に飾っておこう、その拾ったものを。部屋の中が、もっと素敵に見えてこないだろうか。部屋か。部屋か。私の、その私のいる部屋か。そこのどこに、場所があるだろうか、その拾ったものを飾るべき場所が。思っているほどには、場所は無いかもしれない。なんたることだ、たったこれだけのものしかその部屋の中にはないというのに。これだけって、どれだけだ。嘆くほどに、嘆かなければならいほどに、というほどだろうか、場所がないほどであるにもかかわらず、何をどのように比較して。拾い集めるのはやめた。そのあたりに、拾ったそのあたりに、それらをおいておこう。それしか、出来ることはなさそうだ。腰が痛い。歩きすぎたろうか。少し、少し休もう、少しだけなら、許されるだろう、ここで休んで、そして、その分回復した体力で、その休んでいる間に遅れたであろう分を、後取り戻せばいいんだろうから。風がなでる、私の首を。ゆっくり息を吸ってみる。遠くが、あまりにも遠くが、映ってくる。まだまだだ、まだまだだ、私は何度もそう強く感じながら、首を振ることしかできない、出発するどころか、追いつくことすら、まだ全く出来ていないではないという事実をうっすらと感じながら。私の血は、まだ燃えたぎることが出来るのだろうか、この漠と広がる空間に対して。なんてことだ、なんてことを考えているんだ、馬鹿げている。冷や汗がどっと流れ出す。私と、私と言ってしまったことにそもそもの過ちがあったんだ。私ではない、彼なんだ、そうやって捉えておくべきなんだ。彼は立ち上がる。つまり、彼はその瞬間までは座っていたということだ。彼は尻を手で払う。つまり、彼は尻が汚れてしまうような、であるものの払えばそれほど気にならない程度にきれいにすることが出来るような汚れが付いてしまうところに座っていたのであり、また、彼が履いていたズボンは多少の汚れなら気にならないと感じることの出来るズボンであったということだ。彼は右の方へ方向を変え、そして、再び歩き始める。つまり、彼は、それまでも歩いていて、それから座っていたということだ。しばらく、彼は歩いた、特筆すべき変化もないままに、それなりの変化はあったものの。しかし、いつしか状況は変化していた。彼の足下がごつごつし始めた。彼は歩きにくさを感じ始めた。無数の石ころが、彼の歩いている場所にあった。また、そのようなところに彼は辿り着いた。埋め尽くすほどに石ころがあるのなら良かったのだが、中途半端な間隔で、しかも、中途半端な大きさでそこらに石ころは散乱していた。下手に踏みつけてそしてバランスを崩してしまったら、ねんざでもしかねない。気をつけよう。彼は、足下を確認しなければならないが故に、ゆっくりとした速度で歩くようになっていた。そんな時間が、彼に許されていたのだろうか。急ぐ必要はないにしても、ゆっくりしている余裕はないのでは無かろうか、何故かは知らないが。そういうものだろう。彼は、あまりの歩くことの困難さに立ち止まってしまった。途方に暮れている。分からない、しかし、やむを得ない。こんなものだよ、うまくいくはずがない。何を根拠にそんな風に。ただ、ただ、足下がごつごつとしているだけじゃないか、無数の石ころがそこにあるだけじゃないか。面白いね。とても。なんだか。いろいろとあって、変化に富んでいる、思いもよらないことばかりだ、全く分からないよ、それがだけど、心地よくもあるかもしれない、場合によっては、もしくは、気の持ち方によっては。だけど。何故に、何故に、彼なんだろうか。何故、私ではないのか、私ではなくなってしまったのか、いや、私ではなくしてしまったのか。たとえば、兎に角空気を吸い込まなければいられないほどのその息せき切った状態を感じはしないのか、全力疾走の後のような、その正に限界のようなその感覚を、私は、それとも、彼は、いや、やはり私は、つまり、私はというしか選択肢がないようなその感覚を。そこにある石ころを一つ拾い上げてみた。それには、”現実”と書かれていた。よく見ると、そこにある全ての石ころには、”現実”と書かれていた。なんて、馬鹿げているんだ。なんて馬鹿げているんだ。そこら中が、現実だらけなんて。なんて、馬鹿げているんだ。私は、彼は。ここにいる。いや、ここに在る。早く逃れようか、この空間から、無理だよ。味わおうか、この空間を、どのようにして。それらを部屋に飾ろうか。場所がないはずだけれども。また、休もうか。そんな、余裕が、私にはあったっけ。私には。私は。私であるのだから。

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