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2007/10/01

小窓と椅子

 小窓の向こうに広がる景色。それは、小窓の向こうだけに広がる景色なのだろうか。椅子に座っていると推測される彼からみえているであろう、その小窓。どのようにして、その小窓の向こうにたどり着く事が出来るのだろうか。まだまだ、向こう側にある光景。しかし、それは、輝いているようにも思える。それとも、その小窓から、彼が座っているであろう椅子から見える範囲だけのことなのだろうか。そもそも、彼は、どちら側にいるのか。小窓があって、椅子があれば、屋内から屋外を眺めていると想像するのが適切だろうか。しかし、屋外に椅子があっても構わないだろう。小窓は、ただ、屋内と屋外を隔てているだけで、彼が、どちらかなのかなどは規定しない。
 和やかに見えるその光景、小窓の向こう側。そして、それは、空間的にも時間的にも何処までも続いていくように思われる。閉塞した椅子の上とは違って。それとも、それは、その小窓から見える景色なのではなくて、彼の夢想の中の光景に過ぎないのだろうか。ひょっとしたら、その小窓の向こうは荒れ果てた空間かもしれない。その椅子の上ほど快適な場所はないのかもしれない。
 ただし、彼の場合は、椅子に座った状態であるのかどうかも、確定してはいない。彼は、一体どういう状態なのだろうか、それさえもはっきりしない。ただ、小窓がある事だけがはっきりしている、いや、もう一つ、彼が存在するという事も。しかし、その彼に関する履歴は、全くはっきりしない。何故、小窓の向こうにこだわろうとするのかさえ。いや、こだわっていないのかもしれない、別に、振り向いたら、そこに小窓があっただけかもしれない、いや、振り向かなくても、そこに小窓があるのかもしれない。それとも、それもまた、夢想の中なのか。
 だけれども、小窓の向こうに興味を抱くとするのであれば、その向こう側へと入り込む事を考えるしかないのかもしれない。もし、今椅子に座っているのであれば、少なくとも、椅子から立ち上がって、せめて、小窓から顔を出して、そして、その向こうを眺めてみるべきではないのだろうか。それとも、その小窓は、届かないほど高いところにあるとでも言うのだろうか。であれば、その小窓が取り付けられている壁の向こう側へと何とか到達する方法を考えるしかないだろう。もし、それが輝いているように見えて、そして、椅子の上が閉塞しているようであるのであれば。
 しかし、彼の本心は、よくわからない、椅子に座っているのかさえもはっきりしないのだから。では、一体誰が、その小窓に興味を示しているのか。一体誰が、小窓の外に見える景色を眺めているのだろうか。
 夢想だけであれば、すばらしい景色をそこに作り上げる事も出来るだろう、小窓の向こう側にも、それに、椅子の上にも。どちらであるとしても、惰性だけに頼るわけにはいかないのだろうか。別に、構わない、もし、十分なのであれば。
 その間に、彼は、椅子からはいなくなっていた、それとも、もとから椅子の上にはいなかっただけなのだろうか。小窓の向こうには、今も空間が広がっている、当たり前だけれども。彼は向かったのだろうか、彼を向かわせる事は、出来たのだろうか。そして、その空間を、一体どのように構成しはじめているのだろうか。

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