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河出書房から続々と出版されている世界文学全集は、のひとつで、残雪の作品を収めた一冊。タイトルとしては、暗夜だけがあげられているのだけれども、実際に収録されているのは、7作品で、短編から中編という長さの作品群。私の知る限りでは、これが初の翻訳の作品ばかりではと思うのだけれども、定かではない。
残雪の作品に共通するのだけれども、ここに納められている作品も、その例に漏れず、いずれも、ある小さな村を舞台にして、そこに暮らす、村から孤立している人物を様々なかたちで描いている。
その孤立が、村から強いられたのか、自ら選択したのか、もしくは、そんなことすら意に介していないのか、それは明確化されないのだけれども、孤立している人物も、そして、その村そのものも、どこか特異であり、奇妙な印象が強い。そして、そこには、圧倒的な冷たさがあるように感じられる。例えば、孤立を超えて対話から関係の修復へと行った道のりを目指す訳でもなく、一方で、さらなる孤立にむかって激しい対立が生まれてくるわけでもない。結局のところ、それぞれがそれぞれの価値観を保持したまま存在しているというのが、結末にあるとしか捉えられない気がする。
そこには、ある意味では、人間の関係性の限界をあっけらかんと描いているようにも感じられるし、一方で、孤立のその虚しさなどは、しかし、そのままであっても何とか存在できものなのだとじっくりと描いているようにも感じられる。
それは、関係性を超脱したある意味では、達観した感覚と言えるのかもしれない。
そうであることは、虚しいことなのだろうか。それとも、そうやって捉えることには強さがあるということなのだろうか。コミュニティーに存在することが人間存在のデフォルトであるように思う。そのコミュニティーを無視したときには、強さがにじみ出るのか、虚しさがにじみ出るのか、それとも、ただ、それもまた存在であると、それだけなのか。
タイトル作品でもある暗夜は、そのあたりの疑問に対する一つの回答であるようにも思う。
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- 暗夜 (2006) : novel,Book
- カッコウが鳴くあの一瞬 (1991) : novel,Book
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