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安部 公房

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混沌とした現実を描く作家、安部公房。現実を微分積分して、物語の形で表現していく事の出来た数少ない作家の一人。現代文学の非常に重要な人物の一人。

その物語は、しばしば現実を大きく飛び越えていくために、その内容を把握することが非常に困難であると感じる読者もいるだろうが、そもそも文学、もしくは芸術に触れるという行為自体が、何かを明確に理解するための物ではなく、それを感じ体験することによって、今までにはない何か別の感情を自分の中に感じる行為である、もしくは、今までに感じていた混沌をしっかりと混沌として認識しきるための行為であると考えれば、安部公房の世界の重要性がより理解できると思う。そこに感じる自らの困惑、揺さぶられる感情と、それによって次々に誘発されていく自らの思考、想像をしっかりと受け止めながら文字というデジタル情報を、読書という行為によるD/Aコンバータによって、アナログに展開していくことで、世界に対して、より深く交わることが出来るようになるのではないだろうか。そして、そこに社会と個人とは、存在とは、という根元の概念をより高次に展開することができるようになり、より幅広い思想的基盤を形成できるようになるのではないかと思う。

言わずもがな、「砂の女」 「箱男」 が代表作といる。これらを幾たびも、体験することによって、様々な物事に対する”現実とは”という答えることの出来ない問いに対して、自らなりの思考を構成出来るようになるであろう。

今からこの作家の作品を読み始めようと言うなら、いくつか出ている短編集や、「壁」あたりなんかから読みはじめたほうがいいかもしれない。これらの中には、まだ完全には固結しきっていない作者の概念が詰まっている。長編にある読めば読むほどに囚われていくようなそのような完成度の高さはないかもしれないが、現実に対しようとする強い情念が感じられる。これは、短編の強みでもあると思う。

以下には、新潮社より発売になっている文庫本を単位に可能な限り読解を試みる。安部作品というと、奇妙もしくは、難解という接触の困難さにつながる形容がされることがおおい。その。接触の困難さを少しでも緩和できればとの想いからの読解である。当然の事ながら、私見ばかりによるものですので、あくまでも、こんな読み方も出来るのかという参考として触れていただきたい。なお、未読の場合については、いらぬ先入観を与える危険性があるので、出来れば、一読後に以下の読解に触れていただきたい。

  • Book Review
  • 密会   (1977) : novel,Book
  • 箱男   (1972) : novel,Book
  • 燃えつきた地図   (1967) : novel,Book
  • 砂の女   (1962) : novel,Book
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