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何が現実なのかという事を表現しようとしているかのような作品。舞台がめまぐるしく変化するのだけれども、それぞれが、それぞれに夢の中の出来事であるかのように、表現されていて、どれが現実という扱いになっているのかが不明確な展開を構築。様々な空間をただよいながら、死に直面したり、世界を消滅させてみたり。精神病であるかのようで。そして、喪失と獲得の中で自己の存在が不明確になる中で、それでも、存在し続けるのは自己のみであって、その周囲は、自己の反映であるというような事を表現したいかのようでもある。
ただ、私の個人的な考えでは、自己は、自己のみだけであっては、存在を定義できなくて、他者との接触がなければ、自己が存在できないと考える。ただし、自己の世界は自己の世界としてあって、社会は、自己の世界の干渉平面の集積として存在すると考えるべきであると。
例えば、このあたりは、”モーリス・ブランショ”の”謎の男トマ”では、見事に表現されているような気がする。
で、この”チャパーエフと空虚”が、この”謎の男トマ”の簡易版というか、わかりやすくして、だけれども、少し重要な要素までも削ってしまった作品という感じがする。
ちなみに、タイトルにある"チャパーエフ"だとか、中に登場する人物とかは、ロシア文学作品への言及でもあるようである。それらのことを理解しているに超した事はないのかもしれないが、私自身は、それらは知らなかったのだけれども、十分に読めた。
もう少し、何かが欲しい気がするというか、ひねりがまだまだ物足りないような気がするのだけれども、結構いい作品だと思う。イメージからすると、”スタニスワフ・レム”のイメージにも少し近いかもしれない。SF的要素と哲学的要素の混合体。
軽哲学を楽しむにはいい作品だと思うし、現代文学の希望の一角でもあるかもしれない。
- Book Review
- チャパーエフと空虚 (1996) : novel,Book
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