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サミュエル・ベケット。アイルランド出身の作家であるが、多くの作品を英語およびフランス語の両方で発表した作家であり、作家としては、主にフランスで過ごしていたことから、フランス文学に分類されることが多い。なお、自らの手で翻訳作業をしているため、、その翻訳の過程では、ある程度手が加えられている。現在日本で出版されているベケットの作品の多くは、いずれかの本を底本として訳出しながらも、その他の版における作品での改訂部位についても、詳しく書かれている場合が多い。
小説および戯曲の世界において、非常に特異な世界を構築し、そのことによって、人間そのものを描き出したと表現すべきであろう作家である。その表現では、日常の生活の様子はほとんど描かれてはおらず、また、明確の心理が描かれているわけでもない。使われる表現のほとんどは、ある種の情景描写と心理描写ではあるのだが、それが連続しない。それどころか、むしろ独り言のようでもあり、使用される文章も複雑なレトリックを使うわけではなく、むしろ単純な表現を使用している、但し、表現そのものは単純な物であるが、その文章としての構成は複雑かつ反復的である。そして、結果として、それぞれの表現は、一つの状況にまでは発展していかない物がほとんどであり、まるで全てが胎児のままという感じさえもする。しかし、そうであるが故に、情景に影響を受けないまさに、人間そのものに言及する作品となっているといえる。情景を思い浮かべながら読むことが困難であるために、非常に読みにくい作品であるかもしれないが、そこを我慢して、必死に自己と作品とを戦わせながら読み続ければ、きっと多くを得ることが出来ると思う。
小説や戯曲などが残されているが、何よりこの作家の特徴は、アイルランド出身でありながら、フランス語で主に文章を書き、そして、その文章を自らの手で英語に翻訳し、英語版を出版しているという点にある。その翻訳の過程では、ある程度手が加えられている。現在日本で出版されているベケットの作品の多くは、いずれかの本を底本として訳出しながらも、その他の版における作品での改訂部位についても、詳しく書かれている場合が多い。
小説、戯曲も主要な作品は、なんとか日本でも手に入るようだ(ただし、大型書店かネット書店に頼らざるを得ないが)。小説では、初期三部作”モロイ””マウロンは死ぬ””名付けえぬもの”が有名。私自身は、最初に読んだ、”マーフィー”で衝撃を受けて以来のファン。後期三部作として、"NO HOW ON"としてまとめられてもいる作品”伴侶””見ちがい、言いちがい””いざ最悪の方へ”は、先述のものとはことなり、言語の使用を最小限までにとどめた小作品で、他の作家にはとてもたどり着けない究極の言語世界を築いている。また、戯曲では最も有名な、戯曲の世界での金字塔とでも言われる作品”ゴドーを待ちながら”は必読作品である。
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