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バートルビーと仲間たち

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この本のタイトルにある、バートルビーとは、書けない症候群のことで、ある時点以降にまったく小説や詩などを発表しなくなった作家達を取り扱っている。

一応、自らもバートルビー症候群に陥った作家が、バートルビー症候群になった他の作家について調べるという小説の形態を取っているのだけれども、全体的には、随筆に近い書き方。

何よりも、この作品のというか、この作家のスゴイのは、膨大な数のマイナー文学作家を取り上げているところ。実際、書けない症候群に陥ったということは、作品を多くは残してはいない作家を取り扱っていると言うことだし、そもそも、書けない症候群になってしまうようなタイプの作家ということは、出版している時点ですでに、かなりきわどいところをついた作品しか残していないということもあって、一般の人々にも知られている作家もある程度取り上げられているけれど(ランボーやサリンジャーなど)その他の多くは、ほんとんど知られていない作家。であるが故に、非常に興味深い。

で、書けない症候群に陥った人々のその要因の多くは、最早書くことが無くなった、もしくは、書いても書いても表現しきることが出来ないことを克服しきることが出来ないという境地にいたって、書くことを止めてしまってた、というところだと思う。

実際、過去の名作には、意外なほどに、実は完成された作品ではないけれども、死後に再編集されて、世の中に提示された作品も多い。そういう意味では、文学作品というのは、完成することがとても困難な物であることは、ある程度明確になっている事だと思う。例えば、カフカなんて、その好例だろうし、サミュエル・ベケットが最終的にたどり着いた文章なんかもそのことを指し示しているように思える。

では、書くことが出来ないということ、書いてもどうにもならないということはどういう事なのだろうか。

多くの事には、虚しさがつきまとう。どんなことにも、無意味さがつきまとう。こんな事を時間かけてやったところで、何になるのだろうかと。しかも、経済的な何かが伴うのでもなければ、そして、多くの読者を獲得するわけでもなければ。だけれども、経済的なそして読者数的な成功を収めるような文章を書くこと自体にも意味がないと感じるのであれば。ただ、自身の書くという意志だけが、原動力だけれども、それはあまりにも屈しやすくて。その、自身の意志だけで、書くことを続けられるだろうか。さらに、その自身が抱く理想に近いものを自身が本当に生み出すことが出来るのだろうか。ハードルが高い割に、モチベーションとなる原動力が弱い。それが文学なのかもしれないと。

だから、この作品の問いかけは、その体裁以上に重いもであるのではないだろうか。

しかし、ここを乗り越えるかどうかというのも、重要な物かもしれない。実際世の中に提示された製品であったりは、実際の完成度は100%ではないだろう。物によっては、60%程度の完成度で世の中に出るし、よくても、80%ぐらいだとおもう。だから、どんな製品でも何らかの使いにくさや不具合が生じる。だけれども、我々の示すべき態度は、それを100%にしろということではないだろう。多分、100%を達成しなれば世の中に出してはならないという取り決めをしたら、何も世の中に出すことは出来ないだろう。だから、多くの研究者ではなくてエンジニアと呼ばれる人々は、100%では無いけれども、この程度なら大丈夫というぎりぎりのところを攻めて、そして、製品を作り上げる。そういった意味では、バートルビーな発想は、アウトプットレスであって、それはそれでどうなのかという問いかけもあり得る。ただし、製品は、世の中に出されなければ、意味がないけれども、文学とは、どうなのだろうか?ただ、アウトプットすればいいというものなのだろうか?確かに難しい、アウトプットの早さと質とのせめぎ合いは。

何をどこでどう折り合いをつけて、そして、アウトプットに繋げるか?これは、とても重要な課題だと思う。そして、バートルビーな人々も、しかし、何らかのアウトプットはしたのだから、ここで取り上げられている。

つまりは、どのレベルのアウトプットをどれだけの分量提示するのか、それが個人が選択すべきところなのかもしれない。

しかし、再度書くけれど、ここまで、マイナーな作家ばかりが取り上げられていると、マイナー文学好きとしては、意味なく、うれしくなってしまう。

だけれども、文体自体はそれほど難しくないので、コアな文学好きではなくても十分に楽しめると思います。

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  • バートルビーと仲間たち   (2000) : novel,Book
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